5月3日・4日・5日の3日間の期間限定で、ジャン・ユンカーマン監督作品『映画日本国憲法』(2005年製作)がYouTubeにて無料配信されています
https://www.youtube.com/watch?v=C40dTgOHlNA
チャルマーズ・ジョンソンという人は知りませんでしたが、この映画の中で彼が話した、「世界中に広がる軍事基地のネットワークによって形成されるアメリカ帝国」というところが気になったので、彼の発言のみを抜書きしてみました。
チャルマーズ・ジョンソン
政治学者、元カリフォルニア大学教授
元CIA顧問。米国の帝国主義的政策を分析した著書『Blowback』がベストセラーになる。
(日本語版は『アメリカ帝国への報復』)
42分ごろから登場。
<米海軍第3艦隊母港 サンディエゴにて著書『Sorrows of Empire (アメリカの悲劇)』が映し出され講演の場面>
米国防総省の”基地構成報告書”によれば米軍が所有する基地は世界132カ国に725以上。
アメリカ国内には外国軍基地がないので、ほとんどのアメリカ人にはこの意味が理解できません。沖縄には38も基地があり、50年間 反抗が続いています。
これは基地ネットワークによる新しい帝国の形態です。植民地ではなく、広範な軍事基地による帝国なのです。
<書斎(と思われる)にて>
大田昌秀知事に招かれて1996年に沖縄を訪れ、前年9月の事件について話し合いました。米兵3人が12才の少女をレイプした事件です。安保闘争に次ぐ規模の反米デモに発展していました。ショックでした。あんな小さな島に38もの米軍基地がひしめき、第3海兵隊師団の目前には130万人が住んでいるのです。
そこで世界の700の基地についてさらに調査を続けました。それが新著のテーマです。すると沖縄が例外ではないことが分かったのです。それが研究を始めるきっかけでした。この軍事基地帝国をめぐる研究です。アメリカのイメージは音楽や映画で伝わるのだと米国民は信じていますが、実は世界が見ているのは重装備した特殊部隊です。直接の関わりがなくてもそういうアメリカを見れば軍事力で外交をする国だと思わざるを得ません。
(ブッシュ大統領のテロと戦うという演説と小泉首相と親しげにする様子)
日本はアメリカの軍事政策に従い、国防総省のネオコンの誇大妄想に付き合おうとしました。ブッシュが突き付けたリトマス試験紙は”イラクとの戦争に参加するか否か”。その回答を迫られた小泉は主人に忠実な小型犬のように、非合法で無価値な行動に出ました。イラク派兵はイスラム社会に怒りを芽生えさせました。いつまでも消えない日本への怒りを…。これは絵に描いたような外交の完全なる失敗でした。日本にとって様々な意味で大きな痛手となるでしょう。改憲の是非はともかく、憲法を変えずに派兵を実施したことは、日本の法制度は形だけだと宣伝したようなものです。この憲法を遵守するという道義的義務に日本政府はあまりに無関心すぎました。無駄な損失です。もうアメリカのイラク駐留には2つの選択肢しかないからです。撤退するか追い出されるかです。
(日本のイラク派兵)
53分17秒
日本は第二次大戦中の侵略を謝罪していないと批判を受けています。戦後ドイツのように謝罪すべきだと…。1953年 初めて日本を訪れたとき、この議論は熱を失わず、私は思いました。第9条こそ日本の謝罪だと…。東アジア諸国へこう宣言したのです。”30~40年代に起きた日本の軍事行為の再現を、今後恐れる必要はありません。最終的な自衛としての行使を除く武力をすべて―公に 正式に 法的に放棄します”と。
つまり第9条の放棄は謝罪の否定です。そうなれば中国全土の人々や、東南アジアの華僑や朝鮮半島の人々の間で、戦後日本をめぐる問題が再燃することになります。”日本は本当に謝罪をしたといえるのか。戦争犯罪の重さを理解しているのか”と。
1時間12分47秒
日本人は憲法をもっと誇りに思うべきです。アメリカ占領軍の発案ではありましたが、反戦ムードが高まった50年代初頭にこの憲法は日本に深く根をおろしたのです。”普通の国”になるメリットとは? 航空母艦を持ち― 核兵器を備えた国のどこがいいのでしょう。どうせ日本は軍事大国にはなれません。再軍備に必要な労働力がありませんからね。今のがこの午後の話で一番いいところかな。
参考
チャルマーズ・ジョンソンが死んだ。(2010年に死去)
http://amesei.exblog.jp/12330528/
ブログ:ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報
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